やかまし村文庫<ブログ>だより №45

ぼく、この話好き!

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ドナルド・ホール文 バーバラ・クーニ―絵

もきかずこ訳 ほるぷ出版

昨日、「にぐるまひいて」を読んだときのこと。

聞き終わると「ぼく、この話すき」というつぶやきが聞こえました。

3年生のY君でした。

この本は、私も大好きで、秋になると必ず読みたくなります。

 

10月、とうさんは、この一年間に家族みんなで作ったものを

なにもかも荷車に積んで、ポーツマスの市場へ売りにいきます。

4月にとうさんが刈り取った羊の毛、それをかあさんがつむいで

織ったショール、かあさんがつむいだ糸で、娘が編んだ

指なし手袋、みんなで作ったろうそく、亜麻から育て仕上げたリンネル

とうさんが切りだした屋根板の束、息子が料理ナイフで作った

白樺のほうき、じゃがいも、りんご、ハチミツと蜂の巣、

かぶとキャベツ、3月にかえでの樹液を煮詰めてとった

かえで砂糖の木箱詰め、がちょうの羽一袋…

市場へつくと、とうさんは持ってきたものを何もかも売り、

空になった荷車も、牛も手綱も何もかも売ると、

娘には刺繍針を、息子にはほうきを作るバーロウナイフ、

そして家族みんなのために、薄緑色のはっかキャンディを買った。

娘は針をもらうと刺繍にとりかかり、息子はナイフをもらうと

ほうきを作り、とうさんは冬中、新しい荷車の板をひき、

屋根板を切りだし、かあさんは亜麻をリンネルに仕上げ…

家族は、また一年の仕事にとりかかります。

美しい絵から、家族の営みが温かく伝わってきます。

 

こういう絵本に出会い、それを味わって心に刻み、

「ぼく、この話好き!」という言葉が口をついて出てくるなんて!

子どもに本を手渡す者として、こんなに嬉しいことはありませんね!